PicoTR のお話し


こんにちは、篠田のブログです。


年末もおしつまって、いろいろと忙しい限りですが、家に帰っても大学受験を控えた
息子から勉強の質問が矢継ぎ早に来るので、それはそれで大変です。おかげで、
高校物理の総ざらいとセンター試験の過去5年分を解かされてしまいました。
息子は、理系とは言え、漢字は麻生さんなみで、ひどいものです。学校で、卒業式の
リクエスト曲を選ぶのに、尾崎豊さんというのがあって、豊が書けなかったらしく他人
に聞くと「曲に豆だよ、そんなことも知らないのか」、そして尾崎“曲豆”と書いて、
先生から爆笑されたそうです。ちなみ、私はその人の曲は一度も聞いたことが無いの
ですが、どうも有名な歌手らしい。先週は、音楽の国、オーストリアから来客があり
ました。ピコ秒パルス光加熱サーモリフレクタンス装置(PicoTR)の出荷前確認で、
非常に有益な時間を過ごすことができました。産総研の馬場先生、竹歳先生、八木先生
の開発、ピコサーム社の製品化で、とにかくすごい装置で、ナノ薄膜の熱物性をしっかり
測ろうとしたら、少なくとも現時点ではこれしか方法はありません。オーストリアの
お客様も大変満足されたのですが、食事とかをいっしょにすると、音楽の話題になり
そうになるわけです。一応そんなときは、音楽ネタでは私はもっとも不適格者です、
と宣言してしまいます。以前もドイツ本社から二人来客したときに(一人はトルコ系の
人)、音楽の話になって、トルコ系の女性に、僕も良くトルコの音楽聞くよ、
と言ったら、興味津々で「何を聞くの」と聞いてきます。私曰く、「ジェッディン、
デテン」。その女性は唖然としていました。これは、向田邦子さんの「阿修羅の如く」
BGMで有名になりましたよね。YouTubeでは、オスマントルコのイェニチェリに扮した
男たちが剣を抜いて独特のステップで行進しています。私も、自分の豊後国尚行を抜いて
自宅で真似していると、家人にはおかしい、と言われるのですけどね。そりゃ、外人に
日本の音楽で何が好きと聞いて、「抜刀隊」って答えが返ってきたら驚きますね。
ドイツ人の方にも、ドイツの音楽何を聞くのと聞かれて、やや間があったのですが、
止せばよいのに「Auf Auf Zum Kampf」 と答えてしまいました。いや、これは歴史研究
目的、第一次大戦バージョンです。


話戻って、PicoTRですが、これは元はL社の購入仕様で出ていたのですが、L社の言って
ることが全く嘘だという顧客の判断で、こちらに決定したものです。オーストリアの
お客様が賢くて気づいたけれども、すでに欧州その他(日本以外)では5件以上買って
しまったそうです。、
正しいかどうかは皆様のご判断にまかせます。その会社は、金属100nmも測定できると
言うのですが(落札したときの仕様)、その会社の装置のパルス幅は、5ns 以上あり
ます。ちなみに、モリブデン100nmを熱が通過する時間(熱拡散時間)は0.5ns くらい
です。測定できると思いますか?

大切な研究開発費を無駄にしないためにも、装置のピンとキリを抑えることは非常に
重要です。以上は薄膜の垂直方向ですが、面内はどうでしょう?非常に熱拡散率の高い
材料ですと、面内の測定で使用可能な方法はフラッシュ法を含めて何種類かあると思う
のですが、低いものでは、難しい問題です。解法はいくつか見いだせておりますので、
いずれ発表できる時期が来ると思います。これについても、できる、といっている市販
装置でもアドバイスを。


・ラメラー法とクロスチェックする。

要は試料を刻んで垂直にたて、通常のフラッシュ法で測定する。面倒ですが、これに
まさる精度はないわけです。あってなければ、メーカーはいろいろ言い訳するかも知れ
ませんが、はっきり言ってその手法は怪しいです。


・温度を上げてみる

室温だけ、それらしいデータが出るように調整してあっても、温度を少し上げてみると
ばれたりします。グラファイトの面内の熱拡散率が、温度を上げると大きくなるもの
でしょうか? 是非一度試してください。


・等方性材料で別方向に切り出す。

もちろん、面内と垂直方向に切り出した試料は、通常の確かな垂直方向の測定で確認
します。

そんな愚痴を書きつづっているうちに、某県の工業試験所でのフラッシュ法の入札が
他決したとの悲報が。。。 仕様を見ると、そこには無理だなー、実績もないし、
と思うのですが、まあ、出来ると我が国に宣言した以上はできるのでしょう。。
来年でご維新百五十年記念となりますが、当時は欧米からいろんな武器商人がやって
きて、極東の田舎では知らないと思ってヨーロッパでは時代遅れとなった武器を売り
つけようとするわけです。その会社がそうでは無いことを祈るばかりです。


貧乏でもいい、正直に生きたいと思う今日この頃です。

 

 



よろしければ「ジェッディン、デテン」お聞き下さい。
※音量にご注意ください!!











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