レーザフラッシュ法の黒化処理 ~ナノテク展で見つけた必殺技~

こんにちは。篠田のブログです。

ナノテク展(東京ビックサイト、2/15~17)が近づいて参りました。今年も弊社も
出展させて頂きますが、今回のブログの話題は、昨年のナノテク展で見つけたレーザ
フラッシュ法の黒化処理方法です。

(断熱材以外の)熱伝導率の評価方法として、フラッシュ法は一世を風靡している感
があります。おそらくデータの信頼性と普及度、適用範囲の広さにおいて、他の測定
方法と一線を画すものがあります。ただそんなフラッシュ法にも、一点泣き所、
というかローテクなところがあります。それは、多くの試料において、グラファイト
スプレーによる黒化処理を必要とすることです。

なぜ黒化処理を必要とするかを復習すると、照射側は表面でパルス光を熱として吸収
させるため、裏面側は赤外線の放射率を高めるためです。

黒化膜の厚みは片面5μm~10μm程度で、測定試料が、数W/m K程度のセラミックや
樹脂材料で厚みが1mm~2mm程度ならば熱拡散率の測定結果にほとんど影響がありま
せん。影響が出始めるのは、ハーフタイムで数m秒程度以下からです。ちなみにハーフ
タイム1m秒というのは、銀ならば1mm厚、ポリイミドならば30μm程度です。

ネッチ社の最新のフラッシュアナライザーは、ハーフタイムで0.1msまで測定できる
ハードを備えていますので、この黒化処理の影響は深刻です。

対策として、ネッチ本社では、グラファイトスプレーをまばらに塗布することを推奨
しており、それはそれである程度妥当な結果が得られるのですが、“まばら”という
のがどうも気に入らない。そこで“銀黒”という技法を見つけました。
金蒸着しておいて、その表面を金テルル化処理(灰色になる)する方法です。
産総研のA先生に「湿式だとセラミックスに使えないよね~」と言われてがっかりして
いたところ、ナノテク展をほっつき歩いて見つけたのがこれ、

“グラフェンナノプレートレットスプレー”

です。東京都立産業技術研究センター(TIRI)の柳先生が開発されたもので、新しい
“潤滑剤”として展示されていました。直観的にこれはいけると思って、会場で
こっそり噴霧させてもらったのですが、黒いのが見えないくらいです。

そして約1年後、アプリの石橋君に成果を熱物性学会シンポジウムで発表してもらい
ましたが、ドイツ本社やモニターして頂いた一部のユーザー皆様の評価も高く、薄板
測定の必殺技として定着しております。弊社が販売元となっており、ご購入も可能です。
高価ですが、1回に少量しか塗布しないので滅多に減らないです。
詳細はメールでお問合せ下さい。


では、皆様ナノテク展でお会いしましょう。



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