2016年10月11日火曜日

水はなかなか凍らない ~ 凍らぬ凍土壁

ご無沙汰しております。篠田のブログです。

先日JISの委員会の帰りに、T社のEさんと珈琲店に寄ったときの話。

Eさんは熱伝導率測定歴うん十年のベテランで、液体の熱伝導率ご経験など伺っていましたが、
話題はいつしか凍土壁にうつっていきました。言わずと知れた、福島原発敷地内への地下水
流入を防ぐために、誰かが考え出した苦肉の策だ。

「あれ、凍らないよねー」

とEさん。

「うん、たぶん」

と私。先日、凍土壁失敗ともとれる発表を東電がしたばかりですが、本プロジェクトの熱物性評価
には関与していないものだから、気楽なものです。

初めてDSCで純粋な水を測定したとき、-20℃まで凍らないのには驚いた覚えがあります。
溶けるときはちゃんと0℃で融けますので、校正がずれているわけではありません。
念のため。ましてや流水ではさらに凍らないし、細孔水(粒子の表面に空いている小さな孔に
入り込んでいる水)もさらに凍らない。

「まして温かい水が下から噴き出しているしね」

「そもそも熱物性って評価したのかなー」

確かに、土はいったん固まれば確かに非常に硬い。日露戦争の奉天の戦いで日本軍の28サンチ
榴弾砲の準備射撃がそれほどの効果をあげなかったのは、満州の凍土のためだと言われて
います。

興味がわいてきて、いろいろ調べ始めました。

日本雪氷学会誌 雪氷 76 巻2 号(2014年3 月)の「凍土の知識」の解説記事が解りやすく、
思わず読んでしまいましたが、残念なことに、初頭から「土が0℃以下に冷やされると、
土粒子間隙に含まれる水の多くが凍結し」と書いてありました。過冷却の問題が評価されている
のかな?という点は疑問に思ってしまいます。一部が冷却して、地下水流の流れが少し妨げ
られると、非冷却部分にさらに強い水流が流れ、より凍結しづらくなるはずです。

思い出すのは、さる高僧より、氷を割って冬のさなかに瀧行をするお話しをして頂いたとの
ことですが、流水は静水よりはるかに冷たいらしい。おろし金で肌をさーっとけずられるようだ、
とのことでした。初夏でも十分瀧行は冷たいのに、これは無理だと思いました(笑)

凍土工法は、シールド機によるトンネル掘削や、LNGタンク外側の凍土壁で長年の実績がある
とのことです。それが何で失敗した(しそう)なのか?

熱の問題を解くときには、いきなりシミュレーションしたりせずに、良く3次元的な熱の流れを頭で
イメージするようにしています。それで、自社の技術部隊が開発設計でとん挫していると、
欠陥部分を指摘して解決したことが何度もあります。

思いますに、トンネル掘削の場合は、冷却管の片方は空洞ですし、LNGタンクの外側はそもそも
断熱材でおおわれています。つまり、片方向だけ冷やせばよい。ところが、凍土壁の場合は、
両方向に冷やしているわけです。これでは効率が悪い。いっそ凍土壁に並行して穴を掘って
撥水性の断熱材でも放り込んだ方が良いのではないでしょうか?と思いました。

実際の中粒砂岩や、地下の泥質層の熱伝導率測定は、おそらくサーマルプローブ法を用いたの
だろうけれども、低温仕様のGHP法や大試料のフラッシュ法でクロスチェックすべきではない
かな?と思います。ひとつコメントさせて頂くと、熱刺激をあたえる場所で熱応答を見る方式だと、
不均一材料のどこまで評価しているか解りません、ということです。

いずれにせよ、国民の血税を大量に投入しているわけですから、実績を上げて欲しいところです。

なんと今回は熱に終始したブログでした。


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