フラッシュ法測定の極意~ピンとキリを抑える(1)

こんにちは、ネッチ・ジャパンの篠田です。

今回は、たまには真面目な記事をということで、“フラッシュ法による
熱拡散率測定の極意” について書かせて頂こうと思います。

私はネッチ・ジャパンの立ち上げまでは、ラボで材料の熱伝導率測定がメインで
担当しておりました。
お陰様で、たくさんのお客様にご導入頂いたのですが、その分質問も多く頂きます。
本当に試料の材質、形状もアプリケーションも千差万別で、それに応じてお答えも
限に変化するのですが、話が複雑であればあるほど、原理原則に忠実に回答
していると間違いがないようです。
いつも対応するときに念頭においているのは、せいぜい数項目です。

いくつか挙げさせて頂くと、、、

JISISOなどの工業規格を熟読する
JISISOでも非常に参考になる実践的なものを推奨します。
フラッシュ法ですとJISR1611が名著だと思いますし、断熱材ですとISO8301,8302
重要です。
規格というと堅苦しいようですが(私も最初はそう思っていました)、いろいろ
経験をつんでいくと、先人の試行錯誤の苦労の結晶だということが解ってきます。

・メーカー独自の特長を抑える
JISとかですと、どこのメーカーのユーザーでも困らないように配慮する必要が
あるようですので、規格はベースとして押さえつつ、さらにこの装置ではここまで
できますよ、というアドバイスをしていきます。
孫子風に言うならば、工業規格は「正」、自社の特長は「奇」ということになる
でしょうか?

・標準試料
これは産総研様の熱物性標準研究室のウェブサイトを参照して下さい。
国家標準で装置を検証して、値が標準試料の推奨値以内に入ると、その装置は
“国家標準へのトレーサビリティーがとれた装置”ということになります。

他にも、1次元の熱伝導に近い状況にもっていくなどありますが、重要なのは
ピンとキリを抑える。ということです。
これはどういうことかと申しますと、どこまで測定出来てどこまで測定できないか、
それをしっかり押さえておく、ということです。
なんだぁ~と思われるかも知れませんが、それをはっきり言ってくれる装置メーカー
があまりいないのです。
とりあえず、測ってみましょう、そういわれる皆様も多いのではないでしょうか?
時間とサンプルの無駄遣いにならないと良いのですが...

私共がフラッシュ法で問い合わせを受けて、これこれの試料を測定できますか?
と質問を受けた場合は、それはできます!できません!と、はっきりお答え
いたします。(できるできないの境界では、注意事項はいろいろ増えますが...

その判断基準となるのが、熱拡散時間(または熱拡散の特性時間)と呼ばれる
熱物性値です。


次回は、熱拡散時間から詳しく説明させて頂こうと思います。


ネッチジャパンサイトはこちら
http://www.netzsch.co.jp/

ネッチ最新イベント情報はこちら
http://www.netzsch.co.jp/event/

ネッチの関する各種お問い合わせはこちら
http://www.netzsch.co.jp/contact/



コメント

人気の投稿