接着剤と熱分析

こんにちは。篠田のブログです。

今回は接着の話です。

接着剤というと、子供のころにはヤマトのりで手をべたべたにして、小学生では
プラモデルでセメダイン、図工工作で木工ボンド、もう少し長じてアロンアルファに
出会い、大学で研究室に残ると2液性のアラルダイト、クライオスタットの修理に
スタイキャスト、社会人に出て研究職につけないとアラビアのりやピットのりと、
成長とともに実にいろいろな接着剤との出会いがあります。身近な接着剤というと、
たいてい固まる前には特有の臭いがして、固まるまでの時間も、接着力も違います。

ところで、ここ最近家のリフォームのDIYをするようになって、実にたくさんの接着剤
が世の中にあることを知り、改めて驚きました。この接着剤、熱分析と深い関わりが
あります。

接着剤が固まる(硬化する)時間、固まるまでに発生する臭い(ガス)、接着剤の強度・
耐久性、熱伝導率、使用環境(ガラス転移)などなど、皆熱分析装置で評価することが
できます。

さて、リフォーム前に家の構造を調べると、重量コンクリートブロック作りの家に、
石膏ボードの内装でした。亡くなった祖父が建てたのですが、住みよさよりも耐火・
耐震対策を一番に考えたらしい。ブロックにも重量、中量、軽量の種類があります。
軽量ブロックを外壁に使ったりするとすぐ風化してしまいます。業者さんの話では、
コンクリートは製造して何十年もかけて固くなるピークがあるらしく、築40年の我が家
の壁の堅いこと堅いこと。ハンマードリルでもなかなか穴が開きません。骨格は
そのままにすることにして、石膏ボードは一新することにしました。これを細君と
いっしょに大型バールで全部破壊!畳も全部とっぱらい、しまいには吊り天井の石膏
ボードも全部破壊!気持ちよかったのですが、中型トラックいっぱいの廃材が出て
しまいました。石膏ボードは分別しなくてはならず、処分できるところが少ないので
要注意です。幸運なことに町内で処分してくれる業者がいて、10万足らずで全部引き
取ってもらいました。

壁の木枠は残ったので、間に断熱材としてカネライトフォームを切ってつめこみました。

カネライトフォーム通販のコメリなんかで、いろいろな厚みのものが簡単に手に張り
ます。

会社のヒートフローメーターで熱伝導率(厚み方向)を測定すると、結構ばらつきの
ない安定した数値がえられます。カネライトフォームはのこぎりで簡単に切断できて、
厚みのバリエーションも多いので内装には使い勝手が良い。但し直射日光があたる
屋外に使用するとすぐボロボロになりますのでこれは注意。

さて壁材ですが、石膏ボードと同様、耐火性に優れたケイカル板を採用!石膏ボード
でも良かったのですが、ケイカル板のほうが通販で入手しやすいのでこちらにしました。(FRP素材屋さん)ケイカル板は断熱性能も優れています。ちなみに石膏ボードは自己
消化性があるといわれています。これは石膏CaSO42H2OH2O、これを結晶水という
のですが、加熱と共に脱離、蒸発して熱を奪うからです。TG-DTAで測定すると170
付近のTG減量と同時に吸熱側のDTAピークが観測されます。さてこのケイカル板ですが、
これを壁(の木枠)にどう取り付けるか?でにわか大工は悩みました。3尺×6尺ですと
結構重いので、粘着テープだとずり落ちて来てしまいます。接着してもVOCも気に
なります。

そこでセメダイン社のWebサイトにGo! 弾性マスチック接着剤PM100を選定し、
コーキングガンで枠にはりつけ、カクシ釘で止めました。固まったら、カクシ釘の頭は
金づちで叩きとばしていきます。 完成したら、表面には空気清浄機能のあるチタニア
入り珪藻土をローラーで塗り付けて完成!なかなかナイスでした。

接着で苦労したのは、風呂場のタイルで、あの数cm角のタイルの小さなタイルで覆う
のが嫌いなものだから、40cm角の鏡面タイルで覆ってやれ、として買ったところ
(タイルライフ)これが重い。こういうのはまんべんなく塗らずに団子状に5点つけて、ぎゅっとおしつけ、1日保持しておきます。目地は“ゴムこて”でイナメジをぬりこんで
完成、めでたし、めでたし。

ちなみに、今までDIYは全くやったことがありませんでしたので、全部ネット情報で
勉強しました。プロの方が読者にいたら笑ってしまうかも知れませんが勘弁して下さい
ね。一番苦笑しているのは元ゼネコン社員の父かも知れませんが…

ずいぶんとここまでいろいろな接着剤が出てきました。この接着剤は固まるまでにどの
くらいの時間がかかるのか、接着剤自身の材質や、温度、湿度によっても大分違って
きます。

“固める”までの最適な条件を知ることはできるでしょうか?
これを熱分析で知る方法はあるでしょうか? あります。

エレクトロニクスで多用されるエポキシ樹脂を例にとってみましょう。このような
熱硬化性樹脂は、熱を加えて温度を上げていくと固まりますが(硬化)、それに伴って
発熱します。

この発熱挙動はDSCを用いて評価することができます。さらに便利なことに、昇温速度
を3パターン以上変えてデータを取るだけで、反応モデルを決めることができます。
(厳密な理論解ではありません)そうすると何が便利か? トライアルアンドエラーを
しなくても、計算機シミュレーションで、任意の工程に対する硬化挙動を知ることが
できるのです。

最小の時間とエネルギーで必要な硬化度を得るための工程が解りますので、コスト削減
にもつながります。さらに詳しい情報は、当HPのお問い合わせまで。

ということで、今回のブログはこのあたりで力切れです。今度の休日は、上製本づくり
に挑戦です。別の接着剤(フエキ糊)とポリ酢酸ビニル系が活躍中です。
当ブログと違って数百年先にも残る内容と自負していますが、中国の詩人、李賀が
“秋来”を詠んだ気持ちが少しわかったような気もします。

 

 
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