2018年10月15日月曜日

秋の日のバイオリン


こんにちは。篠田のブログです。

芸術の秋ということで、今回は、それにふさわしい話題を。つまり、私にはあまりふさわしくない
話題ということになります。

毎日はスマホで日経電子版を読むところから始まりますが、最初に読むのは、「私の履歴書」
す。今月は、バイオリニストの前橋汀子さん。音楽のことは良く解らないけれど、読むと何故か
慄然として、仕事に気合が入ります。そういえば、うちに何故か古いバイオリンがあったなーと
いうことで、出してみました。子供がネットで検索すると、そこそこ値打ちがあるもので、がぜん
やる気が出てきました。残念ながら、弦が一本切れている。ここはDIYで張替よう、とさっそく
楽器屋さんにいってみると、G線、D線、A線、E線とあります。えっ、同じ糸じゃなかったの?
恥をしのんで店員さんに聞こうと思いましたが、店員さんのほうも何か知らん顔で近寄りがたい。
どうやら、音楽オーラが出ていないので上客じゃないというのを一瞬のうちに悟ったらしい。
すごすごと家に帰って、Amazonでセットものとチューナーや松脂を購入、23日ネット情報と
首っ引きで、正しい周波数が出るようになりました!私の場合、ここで満足して終わってしまい
ました。(えっ?)
 
注視していた家人も大体の結果は予測していたようです。前回は、和楽器バンドの千本桜に
感動して、家に置いてあった琴を弾こうとしばらく奮闘していました。そのときは、琴柱と
チューナーまで買って、「ラバウル小唄」まで弾けるようになりましたので、今回よりはまだまし
だったと言えましょう。「ラバウル小唄」は別に楽譜があるわけではなく、耳で覚えているのを
試行錯誤で糸を特定していくのですから、時間がかかりました。
 
芸術の秋ですね。
 
実感として、音は確かに波として伝わります。そしてこの現象は波動方程式として記述されます。
光もそうですよね。
 
ところが、熱現象は、拡散方程式という違うタイプの方程式で記述されます。熱の本質は拡散
です。
 
ところが、熱のシステムを電気回路で置き換えて適用してしまっている論文とかもありますよね。
あれは本当に正しいのかと。
 
「熱物性」で馬場哲也先生が連載されている「科学技術におけるデータベースの役割」の中で
解説されておりますが、電子は電場からの力をうけて移動するわけですが、熱は温度勾配の
ような「場」をうけて移動しているわけではありません。えっ、と思われた方もおりませんか? 
良く、熱伝導率の説明に、材料の両端に温度勾配を与えたとき、温度勾配と熱伝導率に比例
して熱流が生じる、なんて説明を聞いたことはありませんか?何をかくそう私もその一人なの
ですが、これは原因と結果が逆ですよね。熱はあくまで拡散によって伝わるわけで、そこで
温度勾配という場がはたらいているわけではありません。
 
定常法は、決められた熱流を試料に流して、そのときの温度差を計測する、というのが本来は
cause-effectから言うと妥当かも知れません。(規格がありますので、弊社も含めて装置はそう
なってはいませんが)
 
熱の本質が波で無く、拡散であるとすると、「温度波」ってあるの?という話になるのですが、
無い、という先生方もいらっしゃいますし、有るという方もいらっしゃいまして、少し微妙な話に
なりますので、これは学会での議論にゆずります。
 
これは、自分でも、簡単に計算で確認できると思うのです。半無限試料の片面にパルス加熱
したときの内部の温度応答は、グリーン関数で厳密解が与えられます。このパルス加熱を、
強弱をつけて繰り返したときの温度分布が果たして波として記述できるか、ということになり
ますね。
 
もし、波で無いとすると、大学時代に作っていたAC比熱測定装置は何だったのだ、という話に
なるのですが、AC法はLCAを使用して微小な交流信号を検出できる長所があります。そのため
熱刺激を小さくできますので、「材料が変化したこと」を検出するのには、大きなアドバンテージが
あると思います。例えば、温度や磁場や圧力を変化させて相境界を求めるような場合ですね。
「熱物性値」そのものの評価方法としては慎重な扱いが必要だと思います。あくまでこれは私
個人の意見ですが。
 
芸術の秋ということで、音楽は無理でも、せめて熱に関しては、じっくりと考えてみようと思う
今日この頃です。
 
 
 
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2018年8月10日金曜日

ひんやりする話

こんにちは。篠田のブログです。

しばらくご無沙汰しておりました。先月の西日本豪雨では、たくさんの尊い命が失われ、なお多くの被災者が不自由な生活を強いられています。亡くなられた方々のご冥福と、被災者の皆様が一日も早く元の生活を取り戻せますよう心よりお祈り申し上げます。

水害との戦いは私の家のルーツでもあります。母方の先祖は新潟県の弥彦村なのですが、江戸期はよく河川の増水に苦しめられたようで、災害時には農民は悲泣呻吟、貧乏のどん底に追いやられたようです。名主だった先祖は、江戸末期、家財を傾けて三代にわたって治水工事を行ったようです。水の勢いをもって水を制す、極めてユニークな構造だったとのことです。結局成功したのですが全財産を使い果たし、流れ流れて、その末裔の一人が熱のブログを書いていると…

治水に関わる逸話は、枚挙に暇がありません。涙をさそうのは、薩摩藩による宝暦治水工事です。幕府の命で木曽三川の治水工事を行ったのですが、33名が病死、巨額の借金を負うことになり、51人が切腹することになったとか。

水引いて、この猛暑ですが、最近英国から帰国した知人の話ではあちらはもっとすごいことになっているとか。芝生総枯れだそうです。

7月に会議でドイツに行って参りましたが、そのときは寧ろ肌寒いくらいで、そうでもありませんでした。ホテルでも、あまりエアコンのついているところは少ないのです。それに加えて、厚い石造りの壁が多いので、熱容量が大きく、なかなか冷めづらい。夜間に昼間の熱が部屋に伝わってくるようです。もう一つ、欧州は概して湿度が低いので、太陽からの輻射が水蒸気で吸収されず、直に肌にくるそうです。沖縄の方が京都に来て暑さで入院したそうですが、京都の方もロンドンにいったら、同じ目に合うかもしれません。京町屋は風を通して涼をとる工夫はされていますが、あちらにはそんな考えはないですからね。

この暑さですから、少し涼しくなる話をしたいと思います。私は、年に2回ほど東京都産業技術研究所(TIRI)様で、フラッシュ法による熱拡散率測定の講義をさせて頂いております。もう大分回数をかさねて、古典落語の世界に入ってきたのですが、最初にお話しするのは、熱拡散率、熱伝導率、熱浸透率の話です。質問です。同じ形の金の棒と銅の棒をもって、片方をお湯につけたとき、どちらが先に早く熱く感じるでしょう?またどちらが多く熱を伝えるでしょう?正解は、先に熱くなるのは熱拡散率の高い金、熱をより多く伝えるのは熱伝導率の高い銅の方です。

では、大理石の床をはだしで歩いてひんやり感じ、じゅうたんでは温かく感じるのは何故でしょう?ある参考書に、冷蔵庫から取り出した金属容器とプラスチック容器に触ると、どちらも同じ温度のはずであるが、金属容器の方が冷たく感じる。従って、温度に関する人間の感覚は当てにならない、と書いてありました。解りやすい良書なのですが、これは間違い。金属容器の方が、指と容器の界面の温度が、プラスチックの場合に比べて実際に低いのです。これを与えるのが熱浸透率、という余り聞きなれない熱特性値です。ひとことで言うと、熱を吸い取る能力です。例えば、手で(37℃)で素材(20℃)を触った場合を考えます。発泡スチロールは温かく感じますが、銅は冷たく感じます。人肌の熱浸透率は約1,116[JK-1m-2s-0.5]で、発泡スチロールは44、銅は37,511です。発泡スチロールの熱を吸い取る能力は、人肌に対して小さいので、界面の温度は約36.4℃ですが、銅では20.5℃となります。実際に、触った瞬間は、金属の容器の方が、プラスチックの容器よりも冷たいのです。

実際のところ、定常法で高熱伝導率の材料を測定した場合、測定が困難になるのは、材料と熱板との熱浸透率もあると考えています。定常法では、熱板に熱電対を組み込んで、表面の温度を計測してΔTを求めているのですが、実際の試料表面の温度が熱板の直下で変わっていると正しく測定できません。弊社では、定常法は断熱材にしか進めないので無難ですが、高熱伝導率材料を定常法で測定する場合、かなり気を付けた方が良いと思います。日本国外では、ほぼフラッシュ法を使っています。

さて、ひんやりする話ですが、熱を広げる、ということも重要です。身近なところにあったのは竹シーツなのですが、最初は気持ち良かったのですがすぐに暑くなりました。よく見ると、竹の小片が糸で連ねてあって、熱がすぐにこもってしまうのです。これは設計ミスだな~。本当ならば、よこに長く連ねて、寝ていないところまで熱が拡散するようにしなければいけません。ここで重要なのは面内の熱拡散率です。フラッシュ法は、グラファイトシートのような非常に面内の熱拡散率の高いものの測定にはIn-plane ホルダーを使用して精度の高い測定が可能なのですが、樹脂のような低いものは苦手でした。ここ1年ほど、産総研名誉リサーチャーの馬場先生のご指導で、全く別のかなり良い方法が見つかって、昨年のJSTPでもご発表頂いたのですが、現在改良を重ねております。面内の異方性も見られるので、より便利かと思います。十年以上出版された参考書に、油団の熱伝導率測定というのがあって、その中に弊社のNanoflash(フラッシュ法)の測定結果が非人間的測定と紹介されており、人間的な測定法(サーモグラフ)と比べられておりました。ここで、人間的、非人間的というのは著者の表現で、非人間的な測定方法は油団の性能を反映していない趣旨のようです。どこで測定されたのかは解りませんが、面内の測定(人間的?(笑))も勧めて欲しかったと思いました。

こう書いているさなか、台風が接近して来て涼しく感じられるようになってきました。極力災いをもたらさずに、猛暑列島に水撒きをして去って欲しいものです。

 

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2018年6月12日火曜日

ポチッと…


お久しぶりです。

篠田のブログです。お久しぶりです。

最近、Steins Gate 0 にはまっています。ラジオ会館の前で手のひらをかざそうと
したのですが、息子にそれだけはやめてくれ、と言われました。α世界線だの、
β世界線など出てきて、ああしたら世界はどうなっていたのか、こうなっていた、
違う世界線間をトリップする話のアニメです。(こういう書き方をするとファンに
怒られるかもしれませんが)かといって、Steins Gate 0 に出てくるメイド喫茶に
はまっているわけではありません。そもそもメイド喫茶って、最初に注意事項を
正しい日本語で説明されるので、その時点で現実に引き戻されて興ざめです。
ライブはすごいと思いますがね。

Steins Gate 0 はアニメとして面白いのですが、世界線、世界線って言われると、
どうも、あれです、気にすまいと思っていても、どうしても気になることがあります。

重箱のすみをつついている国内の政治ではなくて、シンガポールの方です。先だって
ご到着されたようですが、あのお二方の共通しているのは、善悪はともかくとして、
自分の本能のままに生きてきた、ということです。他人の幸せなんかどうでも良い。
北の方は、気に入らないのがいれば迫撃砲でふっとばしてしまう、機関銃でハチの巣
してしまう。もう一人は、「炎と怒り」読みました。全部は読んでいません。
こんな人間のこと詳しく知っても時間の無駄と思ったから。情けないのは、こんなのに
世界の歴史が左右されていること。核兵器の廃棄に合意でもしたら、二人仲良く
ノーベル平和賞でももらえるのですかね?また、文大統領との抱擁シーンが気持ち悪い、
思った日本人も多いと思いますが、これは仕方が無いと思います。朝鮮半島は昔より
政争が熾烈で、敗れた方は九族皆殺しです。その伝統は健在です。ここでポイントを
取らずに政権を失うとどうなるか、過去の大統領達の末路を見れば明らかです。それ
だけになりふり構わず必死ですね。そういえば、あのお二方にもう一つ共通している
のはどちらも決定権が無いことでした。金さんが何を約束しようが、中国がウンと
言わなければ絵にかいたもちですからね。最後にもう一つ、共通しているのは、無数
の人たちの恨みをかっている、という事ですね。最近、安らかに眠ったことなど無い
と思いますね。

そして、私事ながら、何とそのシンガポールに今週行きます。(仕事と観光以外で)
こっちは先に行くことが決まっていたのですが、よりにもよって、という感じです。
連中をみかけたら、赤外線くらいは飛ばすと思います。赤外線を飛ばしたくらいでは
ククリで切られないと高を括っています。こちらは絶対零度以上ですので、元から
赤外線は飛ばしています。グルカ族は勇敢無比な戦士として敬意を払っていたのですが、
そっち側につくのか、という感じです。歴史上、グルカ兵とまともに切りあったのは、
ビルマ戦線の日本兵ぐらいのものです。

さて、今回は謎のブログでしたが、新嘉坡から無事に帰りましたら、落ち着いて熱の話
を語りたいと思います。

 

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2018年4月10日火曜日

熱伝導率基礎講座を開催致します。


こんにちは。篠田のブログです。前回のセーラームーンのブログはインパクトが
あったようで、さっそく或るユーザーの方から「私はメドベ(メドベージェワ)派
とお伝えください」というメッセージを頂きました。有難うございました。
 
さて、ちょうど都内の桜も散ってしまいましたが、皆様はお花見にはいかれましたか? 
私は、千鳥ヶ淵のボートに家族で乗って、お堀端の桜を悠々と眺めるのが好きです。
ボートの順番を待つのは数時間かかりますが、それだけの価値があります。たまに、
本社からドイツ人のお客様が来ますと、近くの靖國神社につれていって、ついでに
遊就館で近代日本の歴史について、すりこみます。(ドイツも)惜しい所だった、
というドイツの方もいます。これについては(私が何をのたまわったかは)ノー
コメントです。直近の戦争で負けましたので、日本は言われたい放題で、その中に
今はやりのフェイクニュースもたくさんあります。「三人成虎」という成語がある
くらいで、フェイクニュースというのは言ったもの勝ちのところがあって、繰り返し
組織的にやられると、何も知らない第三者はそれを信じ込んでしまうことになります。

ネッチ・ジャパンもおかげさまで大分普及して参りましたが、目立って参りますと、
そのようなフェイクニュースを流す輩も現れます。ひどいことに、まるでネッチと
ルーツが同じで同レベルだか安いというようなことを言って、二束三文の装置を
売りつけて大分困っているお客様がいるようです。お気をつけ下さい。先日もある
県の入札で、要求仕様を全部満たすようなことを言って落札して、届いたのは三十年前
レベルのフラッシュ装置で使い物にならず、大問題になっているケースがあります。
 
また、熱伝導率測定装置の市場が大きいということで、各種新手法が提唱されている
ようです。最も普及しているとはいえ、フラッシュ法もオールマイティーではありま
せんので、このような新手法が適していることもあり、そうでないこともあります。
そのあたりの判断基準の目安がなく、困っておられるお客様も散見されます。

このような状況を見聞きしますと、熱分析メーカーとして、正しい情報を発信する
責務を感じます。このたび、慣例の熱伝導率セミナーを開催させて頂きますが、
確からしい測定をするためには何が必要か、各種測定方法と比較、それぞれの長所
短所とは何か、ということにも焦点を当てたセミナーにしたいと存じます。

そして今回の講座には、現日本熱物性学会会長、大阪産業技術研究所の上利㤗幸先生に
特別にご講演を頂きます。上利㤗幸先生は高機能樹脂の熱物性測定の大家で、
今更ご紹介するまでも無いと思います。熱伝導率セミナーはすぐに予約がいっぱいに
なってしまいますので、早めにご登録頂ければと思います。


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