2018年8月10日金曜日

ひんやりする話

こんにちは。篠田のブログです。

しばらくご無沙汰しておりました。先月の西日本豪雨では、たくさんの尊い命が失われ、なお多くの被災者が不自由な生活を強いられています。亡くなられた方々のご冥福と、被災者の皆様が一日も早く元の生活を取り戻せますよう心よりお祈り申し上げます。

水害との戦いは私の家のルーツでもあります。母方の先祖は新潟県の弥彦村なのですが、江戸期はよく河川の増水に苦しめられたようで、災害時には農民は悲泣呻吟、貧乏のどん底に追いやられたようです。名主だった先祖は、江戸末期、家財を傾けて三代にわたって治水工事を行ったようです。水の勢いをもって水を制す、極めてユニークな構造だったとのことです。結局成功したのですが全財産を使い果たし、流れ流れて、その末裔の一人が熱のブログを書いていると…

治水に関わる逸話は、枚挙に暇がありません。涙をさそうのは、薩摩藩による宝暦治水工事です。幕府の命で木曽三川の治水工事を行ったのですが、33名が病死、巨額の借金を負うことになり、51人が切腹することになったとか。

水引いて、この猛暑ですが、最近英国から帰国した知人の話ではあちらはもっとすごいことになっているとか。芝生総枯れだそうです。

7月に会議でドイツに行って参りましたが、そのときは寧ろ肌寒いくらいで、そうでもありませんでした。ホテルでも、あまりエアコンのついているところは少ないのです。それに加えて、厚い石造りの壁が多いので、熱容量が大きく、なかなか冷めづらい。夜間に昼間の熱が部屋に伝わってくるようです。もう一つ、欧州は概して湿度が低いので、太陽からの輻射が水蒸気で吸収されず、直に肌にくるそうです。沖縄の方が京都に来て暑さで入院したそうですが、京都の方もロンドンにいったら、同じ目に合うかもしれません。京町屋は風を通して涼をとる工夫はされていますが、あちらにはそんな考えはないですからね。

この暑さですから、少し涼しくなる話をしたいと思います。私は、年に2回ほど東京都産業技術研究所(TIRI)様で、フラッシュ法による熱拡散率測定の講義をさせて頂いております。もう大分回数をかさねて、古典落語の世界に入ってきたのですが、最初にお話しするのは、熱拡散率、熱伝導率、熱浸透率の話です。質問です。同じ形の金の棒と銅の棒をもって、片方をお湯につけたとき、どちらが先に早く熱く感じるでしょう?またどちらが多く熱を伝えるでしょう?正解は、先に熱くなるのは熱拡散率の高い金、熱をより多く伝えるのは熱伝導率の高い銅の方です。

では、大理石の床をはだしで歩いてひんやり感じ、じゅうたんでは温かく感じるのは何故でしょう?ある参考書に、冷蔵庫から取り出した金属容器とプラスチック容器に触ると、どちらも同じ温度のはずであるが、金属容器の方が冷たく感じる。従って、温度に関する人間の感覚は当てにならない、と書いてありました。解りやすい良書なのですが、これは間違い。金属容器の方が、指と容器の界面の温度が、プラスチックの場合に比べて実際に低いのです。これを与えるのが熱浸透率、という余り聞きなれない熱特性値です。ひとことで言うと、熱を吸い取る能力です。例えば、手で(37℃)で素材(20℃)を触った場合を考えます。発泡スチロールは温かく感じますが、銅は冷たく感じます。人肌の熱浸透率は約1,116[JK-1m-2s-0.5]で、発泡スチロールは44、銅は37,511です。発泡スチロールの熱を吸い取る能力は、人肌に対して小さいので、界面の温度は約36.4℃ですが、銅では20.5℃となります。実際に、触った瞬間は、金属の容器の方が、プラスチックの容器よりも冷たいのです。

実際のところ、定常法で高熱伝導率の材料を測定した場合、測定が困難になるのは、材料と熱板との熱浸透率もあると考えています。定常法では、熱板に熱電対を組み込んで、表面の温度を計測してΔTを求めているのですが、実際の試料表面の温度が熱板の直下で変わっていると正しく測定できません。弊社では、定常法は断熱材にしか進めないので無難ですが、高熱伝導率材料を定常法で測定する場合、かなり気を付けた方が良いと思います。日本国外では、ほぼフラッシュ法を使っています。

さて、ひんやりする話ですが、熱を広げる、ということも重要です。身近なところにあったのは竹シーツなのですが、最初は気持ち良かったのですがすぐに暑くなりました。よく見ると、竹の小片が糸で連ねてあって、熱がすぐにこもってしまうのです。これは設計ミスだな~。本当ならば、よこに長く連ねて、寝ていないところまで熱が拡散するようにしなければいけません。ここで重要なのは面内の熱拡散率です。フラッシュ法は、グラファイトシートのような非常に面内の熱拡散率の高いものの測定にはIn-plane ホルダーを使用して精度の高い測定が可能なのですが、樹脂のような低いものは苦手でした。ここ1年ほど、産総研名誉リサーチャーの馬場先生のご指導で、全く別のかなり良い方法が見つかって、昨年のJSTPでもご発表頂いたのですが、現在改良を重ねております。面内の異方性も見られるので、より便利かと思います。十年以上出版された参考書に、油団の熱伝導率測定というのがあって、その中に弊社のNanoflash(フラッシュ法)の測定結果が非人間的測定と紹介されており、人間的な測定法(サーモグラフ)と比べられておりました。ここで、人間的、非人間的というのは著者の表現で、非人間的な測定方法は油団の性能を反映していない趣旨のようです。どこで測定されたのかは解りませんが、面内の測定(人間的?(笑))も勧めて欲しかったと思いました。

こう書いているさなか、台風が接近して来て涼しく感じられるようになってきました。極力災いをもたらさずに、猛暑列島に水撒きをして去って欲しいものです。

 

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2018年6月12日火曜日

ポチッと…


お久しぶりです。

篠田のブログです。お久しぶりです。

最近、Steins Gate 0 にはまっています。ラジオ会館の前で手のひらをかざそうと
したのですが、息子にそれだけはやめてくれ、と言われました。α世界線だの、
β世界線など出てきて、ああしたら世界はどうなっていたのか、こうなっていた、
違う世界線間をトリップする話のアニメです。(こういう書き方をするとファンに
怒られるかもしれませんが)かといって、Steins Gate 0 に出てくるメイド喫茶に
はまっているわけではありません。そもそもメイド喫茶って、最初に注意事項を
正しい日本語で説明されるので、その時点で現実に引き戻されて興ざめです。
ライブはすごいと思いますがね。

Steins Gate 0 はアニメとして面白いのですが、世界線、世界線って言われると、
どうも、あれです、気にすまいと思っていても、どうしても気になることがあります。

重箱のすみをつついている国内の政治ではなくて、シンガポールの方です。先だって
ご到着されたようですが、あのお二方の共通しているのは、善悪はともかくとして、
自分の本能のままに生きてきた、ということです。他人の幸せなんかどうでも良い。
北の方は、気に入らないのがいれば迫撃砲でふっとばしてしまう、機関銃でハチの巣
してしまう。もう一人は、「炎と怒り」読みました。全部は読んでいません。
こんな人間のこと詳しく知っても時間の無駄と思ったから。情けないのは、こんなのに
世界の歴史が左右されていること。核兵器の廃棄に合意でもしたら、二人仲良く
ノーベル平和賞でももらえるのですかね?また、文大統領との抱擁シーンが気持ち悪い、
思った日本人も多いと思いますが、これは仕方が無いと思います。朝鮮半島は昔より
政争が熾烈で、敗れた方は九族皆殺しです。その伝統は健在です。ここでポイントを
取らずに政権を失うとどうなるか、過去の大統領達の末路を見れば明らかです。それ
だけになりふり構わず必死ですね。そういえば、あのお二方にもう一つ共通している
のはどちらも決定権が無いことでした。金さんが何を約束しようが、中国がウンと
言わなければ絵にかいたもちですからね。最後にもう一つ、共通しているのは、無数
の人たちの恨みをかっている、という事ですね。最近、安らかに眠ったことなど無い
と思いますね。

そして、私事ながら、何とそのシンガポールに今週行きます。(仕事と観光以外で)
こっちは先に行くことが決まっていたのですが、よりにもよって、という感じです。
連中をみかけたら、赤外線くらいは飛ばすと思います。赤外線を飛ばしたくらいでは
ククリで切られないと高を括っています。こちらは絶対零度以上ですので、元から
赤外線は飛ばしています。グルカ族は勇敢無比な戦士として敬意を払っていたのですが、
そっち側につくのか、という感じです。歴史上、グルカ兵とまともに切りあったのは、
ビルマ戦線の日本兵ぐらいのものです。

さて、今回は謎のブログでしたが、新嘉坡から無事に帰りましたら、落ち着いて熱の話
を語りたいと思います。

 

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2018年4月10日火曜日

熱伝導率基礎講座を開催致します。


こんにちは。篠田のブログです。前回のセーラームーンのブログはインパクトが
あったようで、さっそく或るユーザーの方から「私はメドベ(メドベージェワ)派
とお伝えください」というメッセージを頂きました。有難うございました。
 
さて、ちょうど都内の桜も散ってしまいましたが、皆様はお花見にはいかれましたか? 
私は、千鳥ヶ淵のボートに家族で乗って、お堀端の桜を悠々と眺めるのが好きです。
ボートの順番を待つのは数時間かかりますが、それだけの価値があります。たまに、
本社からドイツ人のお客様が来ますと、近くの靖國神社につれていって、ついでに
遊就館で近代日本の歴史について、すりこみます。(ドイツも)惜しい所だった、
というドイツの方もいます。これについては(私が何をのたまわったかは)ノー
コメントです。直近の戦争で負けましたので、日本は言われたい放題で、その中に
今はやりのフェイクニュースもたくさんあります。「三人成虎」という成語がある
くらいで、フェイクニュースというのは言ったもの勝ちのところがあって、繰り返し
組織的にやられると、何も知らない第三者はそれを信じ込んでしまうことになります。

ネッチ・ジャパンもおかげさまで大分普及して参りましたが、目立って参りますと、
そのようなフェイクニュースを流す輩も現れます。ひどいことに、まるでネッチと
ルーツが同じで同レベルだか安いというようなことを言って、二束三文の装置を
売りつけて大分困っているお客様がいるようです。お気をつけ下さい。先日もある
県の入札で、要求仕様を全部満たすようなことを言って落札して、届いたのは三十年前
レベルのフラッシュ装置で使い物にならず、大問題になっているケースがあります。
 
また、熱伝導率測定装置の市場が大きいということで、各種新手法が提唱されている
ようです。最も普及しているとはいえ、フラッシュ法もオールマイティーではありま
せんので、このような新手法が適していることもあり、そうでないこともあります。
そのあたりの判断基準の目安がなく、困っておられるお客様も散見されます。

このような状況を見聞きしますと、熱分析メーカーとして、正しい情報を発信する
責務を感じます。このたび、慣例の熱伝導率セミナーを開催させて頂きますが、
確からしい測定をするためには何が必要か、各種測定方法と比較、それぞれの長所
短所とは何か、ということにも焦点を当てたセミナーにしたいと存じます。

そして今回の講座には、現日本熱物性学会会長、大阪産業技術研究所の上利㤗幸先生に
特別にご講演を頂きます。上利㤗幸先生は高機能樹脂の熱物性測定の大家で、
今更ご紹介するまでも無いと思います。熱伝導率セミナーはすぐに予約がいっぱいに
なってしまいますので、早めにご登録頂ければと思います。


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2018年3月2日金曜日

メドベ派のつぶやき

 

こんにちは。篠田のブログです。先日閉会した平昌五輪は、強風と政治とハプニング
に翻弄されつつも、日本のメダルが多かったので、何となく良かったように思って
しまいました。

女子フィギアは冬季五輪の華ですが、皆様はザトギワ派でしょうか、それとも
メドベージェア派でしょうか?メドベージェアご本人は日本ひいきらしく、以前の
セーラームーンのコスプレのエキジビションの動画を見たりしますと、こっちを
応援したくなります。

♪泣きたくなるよな、ムーンライト、言葉も言えないミッドナイト

歌っておりますと、折あしく受験の息子が居合わせまして、ひどいなあ、と言います。

そこで即興で、

♪思考回路はショート寸前、今すぐ帰りたい

と替え歌を作ってあげました(爆)

日本勢も大活躍だったスケートですが、あのスケートってどうして滑るのでしょう?
 
良く言われておりますのが、スケート靴のブレードの圧力で氷が溶けて、ブレードと
氷の界面に水の層ができて滑る、という説です。昔科学手品でありましたね。
大きな氷にワイヤーをかけて、重りをぶら下げると、ワイヤーが氷を通り抜ける
というやつです。

これは、水の相図でも明らかです。縦軸に圧力、横軸に絶対温度をとり、水がどの
ような状態を示すかをグラフに示したものですが、氷と水(液体)の固液共存曲線は、
負の勾配をもっておりますので、固体の状態に圧力を加えると、液体に変化します。
 
一方で、それだと零下-20℃~-30℃でも滑るのが説明できないでしょ、という反論も
あるようです。でも、DSCで細孔水の測定した場合、0℃以下に温度を下げると、
当然ながらまず自由水が凝固するときの大きな発熱ピークが見えるのですが、これは
-20℃くらいになることもあります。過冷却というやつです。おそらく、ブレードと
リンクの氷の界面水は、過冷却状態にあるのではないでしょうか?また、流動状態に
あることも重要です。以前のブログの凍土壁のときにも述べましたが、流水は凍らず、
です。相図は、バルク状態に対するもので、温度や圧力を(準)静的に変化させた
ものであるということを忘れてはいけないと思うのです。

ところで、氷筍リンクってご存知ですか?(あるいは覚えていますか?)スケートの
滑る機構を、上記の“解け水”でなく、「凝着説」で説明された富山大の対馬教授
によるものです。

平たく言うと、スケートリンクを単結晶の氷で作ろう、しかも摩擦係数の小さい
0001)面がリンク表面になるように制御しようというもので、長野オリンピック
のみで採用されたはずです。効果があったという報告もあり、いやそうでもないと
いう噂もあり、残念なことに、検証不十分のまま1回切りで終わってしまったと思い
ます。それにしても、リンク全体を氷の単結晶でおおうなんて、壮大な計画ですよね。


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2018年1月22日月曜日

2018年 新年のご挨拶

こんにちは。ネッチ・ジャパンの篠田です。

新年のご挨拶というには少々遅うございますが、本年も宜しくお願い申し上げます。
今週はシンガポールにおりまして、こちらは新年のお祝い(春節)はこれからです。
そういたしますと、何やら正月気分が抜け切るのに時間がかかるのですが、気を引き締めて
本年も努力させて頂こうと思います。

シンガポールには、実は1年前にIMREという機関に、NanoTR(産総研発ベンチャー 
PicoTherm社製)を弊社で納入させて頂きまして、それ関連のセミナーとトレーニングに
参りました。ネッチ社の熱伝導率測定装置のラインアップとの合同セミナーなのですが、
参加者40人と大盛況で、海外でも熱物性への関心がいかに高いかが伺われます。
先月は、日本国外初のピコ秒サーモレフレクタンス装置(PicoTR)をオーストリアで社員と
設置に参りまして、これもかなりエクサイティングな仕事でした。
以前は、フラッシュアナライザーの据え付け、取説は自分で行っておりましたが、200台近く
入りますとさすがに社員も習熟いたしまして、私のような老兵にはお呼びがかからなくなって
少々寂しい思いをしておりましたが、少し若返った気分です。
今が、デバイス領域の熱物性関連が飛躍しつつある時期なのかも知れません。
量子コンピューターだとフォノンエンジニアリングだの、マテリアルインフォマティックスだのと
難しい言葉がどんどんやってきて、ついていくだけで大変なのですが、何度も読み聞きして
おりますと門前の小僧とはよく言ったもので、少しわかったような気がしてくるので不思議な
ものです。心が壊れない程度に、勉強していきたいと思います。子供の頃はインターネット社会
なんて想像もつかなかったですからね。要は慣れなのかもしれません。

社員には、新年か忘年会のついでに、余興で占ってあげたり、来年はこうなる、などと言ったり
するのですが、去年のブログを見ると坎難、つまり水害のことを言っていました。
万が一そうなっても被害を最小限に留めるために言っているつもりなのですが、悪いことは
当たると余り気持ちの良いものではございませんので、本年はやめておこうと。ただ、九星では、
火難、兵難が出ているのは気にはなります。

そういえば、今年は明治維新150周年でした。奇しくも本日(1月19日)は、戊辰戦争の直接の
引き金となりました、江戸薩摩藩邸焼き討ち事件の日です。
私は歴史が趣味なのですが、調べました幕末から西南戦争までの殉難者の名簿を見ますと、
それぞれのドラマが浮かび上がるようです。総計三万三千(!)もの優秀な人材が失われて
いるのですが、彼らが生きていたらどんなに素晴らしい日本が出来ていたのだろうと、夢想する
こともあります。大河ドラマでも西郷どん、が始まりました。脚本家を余り好きでないので見ない
のですが、西郷さんは最後の城山の戦いで、少年達は(食料調達と言いくるめて)逃がしました。
逃がされた少年の子孫が自分の家族ですので、感慨深いものがあります。泣こうか、跳ぼか。
泣くよか、ひっ跳べ、でしたっけ? 西郷どんにあやかりまして、ひとつ今年はチェースト精神で
生き残れればと思います。


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2017年12月11日月曜日

PicoTR のお話し


こんにちは、篠田のブログです。


年末もおしつまって、いろいろと忙しい限りですが、家に帰っても大学受験を控えた
息子から勉強の質問が矢継ぎ早に来るので、それはそれで大変です。おかげで、
高校物理の総ざらいとセンター試験の過去5年分を解かされてしまいました。
息子は、理系とは言え、漢字は麻生さんなみで、ひどいものです。学校で、卒業式の
リクエスト曲を選ぶのに、尾崎豊さんというのがあって、豊が書けなかったらしく他人
に聞くと「曲に豆だよ、そんなことも知らないのか」、そして尾崎“曲豆”と書いて、
先生から爆笑されたそうです。ちなみ、私はその人の曲は一度も聞いたことが無いの
ですが、どうも有名な歌手らしい。先週は、音楽の国、オーストリアから来客があり
ました。ピコ秒パルス光加熱サーモリフレクタンス装置(PicoTR)の出荷前確認で、
非常に有益な時間を過ごすことができました。産総研の馬場先生、竹歳先生、八木先生
の開発、ピコサーム社の製品化で、とにかくすごい装置で、ナノ薄膜の熱物性をしっかり
測ろうとしたら、少なくとも現時点ではこれしか方法はありません。オーストリアの
お客様も大変満足されたのですが、食事とかをいっしょにすると、音楽の話題になり
そうになるわけです。一応そんなときは、音楽ネタでは私はもっとも不適格者です、
と宣言してしまいます。以前もドイツ本社から二人来客したときに(一人はトルコ系の
人)、音楽の話になって、トルコ系の女性に、僕も良くトルコの音楽聞くよ、
と言ったら、興味津々で「何を聞くの」と聞いてきます。私曰く、「ジェッディン、
デテン」。その女性は唖然としていました。これは、向田邦子さんの「阿修羅の如く」
BGMで有名になりましたよね。YouTubeでは、オスマントルコのイェニチェリに扮した
男たちが剣を抜いて独特のステップで行進しています。私も、自分の豊後国尚行を抜いて
自宅で真似していると、家人にはおかしい、と言われるのですけどね。そりゃ、外人に
日本の音楽で何が好きと聞いて、「抜刀隊」って答えが返ってきたら驚きますね。
ドイツ人の方にも、ドイツの音楽何を聞くのと聞かれて、やや間があったのですが、
止せばよいのに「Auf Auf Zum Kampf」 と答えてしまいました。いや、これは歴史研究
目的、第一次大戦バージョンです。


話戻って、PicoTRですが、これは元はL社の購入仕様で出ていたのですが、L社の言って
ることが全く嘘だという顧客の判断で、こちらに決定したものです。オーストリアの
お客様が賢くて気づいたけれども、すでに欧州その他(日本以外)では5件以上買って
しまったそうです。、
正しいかどうかは皆様のご判断にまかせます。その会社は、金属100nmも測定できると
言うのですが(落札したときの仕様)、その会社の装置のパルス幅は、5ns 以上あり
ます。ちなみに、モリブデン100nmを熱が通過する時間(熱拡散時間)は0.5ns くらい
です。測定できると思いますか?

大切な研究開発費を無駄にしないためにも、装置のピンとキリを抑えることは非常に
重要です。以上は薄膜の垂直方向ですが、面内はどうでしょう?非常に熱拡散率の高い
材料ですと、面内の測定で使用可能な方法はフラッシュ法を含めて何種類かあると思う
のですが、低いものでは、難しい問題です。解法はいくつか見いだせておりますので、
いずれ発表できる時期が来ると思います。これについても、できる、といっている市販
装置でもアドバイスを。


・ラメラー法とクロスチェックする。

要は試料を刻んで垂直にたて、通常のフラッシュ法で測定する。面倒ですが、これに
まさる精度はないわけです。あってなければ、メーカーはいろいろ言い訳するかも知れ
ませんが、はっきり言ってその手法は怪しいです。


・温度を上げてみる

室温だけ、それらしいデータが出るように調整してあっても、温度を少し上げてみると
ばれたりします。グラファイトの面内の熱拡散率が、温度を上げると大きくなるもの
でしょうか? 是非一度試してください。


・等方性材料で別方向に切り出す。

もちろん、面内と垂直方向に切り出した試料は、通常の確かな垂直方向の測定で確認
します。

そんな愚痴を書きつづっているうちに、某県の工業試験所でのフラッシュ法の入札が
他決したとの悲報が。。。 仕様を見ると、そこには無理だなー、実績もないし、
と思うのですが、まあ、出来ると我が国に宣言した以上はできるのでしょう。。
来年でご維新百五十年記念となりますが、当時は欧米からいろんな武器商人がやって
きて、極東の田舎では知らないと思ってヨーロッパでは時代遅れとなった武器を売り
つけようとするわけです。その会社がそうでは無いことを祈るばかりです。


貧乏でもいい、正直に生きたいと思う今日この頃です。

 

 



よろしければ「ジェッディン、デテン」お聞き下さい。
※音量にご注意ください!!











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